上條さん一家の画像

豊かな自然に囲まれたこの美咲町に、上條さん一家(夫:遼太郎さん、妻:綾子さん・こどもたち:和空さん、結麻さん、天夢さん)は理想の暮らしを求めて移住しました。

数ある候補地の中からなぜ美咲町を選び、どのような未来を描こうとしているのか。その歩みを上條さんご夫婦にお伺いしました。

美咲町に移住したきっかけは?

中国での「アートな自給自足」と、帰国への決意

私たちは元々、千葉県船橋市、愛知県名古屋市の出身ですが、お互いが海外周遊旅行をしている時にタイで出会い縁があって中国の都市部ではなく山里に暮らすようになりました。そこでの生活は、目の前の田んぼや畑で米や野菜を育て、お酒や味噌といった調味料まで自分たちで仕込む、徹底した自給自足スタイルでした。夫は音楽家でもあり、平日は山で土に触れ、週末は都会へ演奏しに行く。「アート」と「暮らし」が地続きになったそのライフスタイルは、現地のメディアや書籍でも紹介されるほど注目を集めていました。

しかし、日本に住む親の健康状態という家族の事情があり帰国を決意しました。

30軒の物件を巡り、出会った「運命の住まい」

日本に帰国後、車中泊をしながら理想の拠点探しが始まりました。当初は長野県なども候補に入れ、計30軒もの物件を比較検討しました。私たちの条件は、「街中ではないこと」そして「自分たちが表現活動を自由にできる広大な土地があること」でした。

そんな中、美咲町で出会ったのが約8,000坪という広大な敷地を持つ「ポツンと一軒家」のような物件でした。 「ここなら、夜に音楽を奏でても、ゲストを招いて賑やかに過ごしても誰にも迷惑をかけない。自分たちの理想を形にできるキャンバスだ」 そう直感したのが、すべての始まりでした。

上條さん夫婦の画像

移住の決定打となった「旭学園」と「手厚い支援」

場所の魅力に加え、行政のサポートが非常に充実していたことも決め手となりました。特に大きかった理由が3つあります。

教育環境

最も重視したのが、子供たちの学校でした。一番上の子が小学5年生で来日した際、中国生まれ・中国育ちで日本語に不安があった子供たちにとって、小中一貫校である「旭学園」は理想的でスクールバスが利用できることも、親にとしては大きな安心材料でした。

充実した補助金

美咲町のリフォーム補助金(最大100万円)をはじめ、購入や引っ越しの支援制度は、他の自治体と比較しても「ダントツでトップクラス」でした。

移住体験

物件探しの際に「お試し暮らし住宅」(移住体験ハウス)を利用できたことで、実際の生活動線や地域の空気感を肌で感じることができ、迷いなく決断することができました。

美咲町での生活はどうですか?

移住した現在は、古い家を自分たちの手で直し、広大な山を管理する日々を送っています。野菜はほぼ100%自給。スーパーへ行く回数は減り、季節ごとの旬をそのまま食卓に並べる豊かさを享受しています。

中国の旅で鍛えられた子供たちも、美咲町の豊かな自然の中でさらにたくましく育っています。道なき道を駆け回り、虫や植物と戯れる。そんな「生きる力」を養える環境が、ここには当たり前に存在します。

驚くほどのスピードで溶け込んだコミュニティ

子供たちが地元の「旭学園」に通い、地域の活動に参加していることが、家族が地域に溶け込む大きな助けとなっています。

地元の子供会、秋祭り(八幡祭り)、運動会、マルシェ。そうした行事に参加するうちに、地域住民と自然に知り合い、驚くほどのスピードで地域の一員として受け入れてもらいました。 特に、子供たちが少人数の集落(江与味地区)で温かく迎え入れられており、夏休みには地域の人から頼まれてゴミステーションに絵を描くなど、地域の一員としての役割をいただいています。

夏には地域で管理するプールへ水遊びに行きます。年中通して地元の大人たちにサッカーを教えてもらう。そんな温かい眼差しに包まれた生活は、私たち家族にとってかけがえのないものとなっています。

こどもたちがデザインしたカラフルなゴミステーションの画像

上條さん一家のこどもがデザインした地域のゴミステーション

美咲町はどんなところですか?

ほどよい距離感と、挑戦を支える温かさ

美咲町は一言で言えば「人と人との距離感が心地よく、団結力の強い町」です。役場の方々の対応も非常に親切で、単なる事務的な手続きを超えた「顔の見えるサポート」を感じます。

岡山ならではの「安全」と「冬の太陽」

また、自然環境のバランスも秀逸です。岡山県は災害が少なく安全というイメージが移住者の間に浸透していますが、実際に住んでみてその安心感を実感しています。さらに、長野県などの豪雪地帯と違い、冬でも太陽が出る日が多いことが魅力です。雪が降ってもすぐに溶けるため、過酷な雪かきに追われることなく、冬の澄んだ空気の中で薪作りやキノコ栽培に専念できる。「山の暮らし」を志す者にとって、これほど恵まれた環境はありません。

現在のお仕事は?

自分の時間を大切にできる「複業スタイル」

私たちは特定の企業に属してフルタイムで働くのではなく、複数の仕事を組み合わせる「複業(パラレルキャリア)」で生計を立てています。これは、自分の暮らし(家直しや畑)の時間を何よりも大切にするためです。

遼太郎さん(夫)

・伝統工芸(炭作り): 日本刀の原料となる赤松の炭作りの研修生兼アルバイトとして、週に数回働いています。地域の文化を守る仕事に携われることは大きな誇りです。

・シルバー人材センター: 地域の関係者の配慮により、柔軟なスケジュールで仕事をいただいています。

綾子さん(妻)

・菓子製造・販売: 最近「菓子製造免許」を取得しました。今後は、中国での経験を活かした手作りの肉まんなどを、道の駅やイベントで販売していく予定です。

・地域でのパート: 地元の「晴れの日工房」でも週に一度働いており、仕事を通じて地域の方々と情報交換をする時間が貴重な交流の場となっています。

将来の夢・目標を教えてください。

上條さん

10年、20年かけて育てる「体験型民泊」

私たちの目標は、この美咲町での豊かな暮らしそのものをコンテンツにした「体験型民泊」をオープンさせることです。 それは決して豪華なホテルではありません。一緒に畑で野菜を収穫して料理を作ったり、音楽やアートが日常に溶け込んでいる様子を間近で見てもらったり。そんな「豊かな生き方の選択肢」を、ゲストと分かち合える場所にしたいと考えています。

美咲町という「肥沃な土壌」に根を張って

移住はゴールではなく、新しい物語の始まりです。私たちは、焦って何かを完成させるつもりはありません。 「中国で培った自給自足の『種』を、美咲町という安全で支援の厚い『肥沃な土壌』に植え替え、地域の人々と誠実に向き合いながら、10年、20年かけて豊かな『森』へと育て上げていきたい。それが私たちの願いです」

美咲町で見つけた、アートと暮らしが溶け合う理想の拠点。一家の挑戦は、これからもこの地でゆっくりと、しかし力強く続いていきます。

この記事に関するお問い合わせ先

みさき共創室
〒709-3717 岡山県久米郡美咲町原田2144番地1
電話番号:0868-66-1660
ファックス:0868-66-2038
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